マクロリスク・モニター 2/4

リスク計測モデル

at.AI / 最終更新 2026年11月3日

このページは計算のルールをすべて公開します。読者が同じ入力から同じ結果を再現できることを目標にしています。現行のモデル版はv2.4です。

目次

  1. 構成と版管理
  2. 指数の定義
  3. 採点アンカー
  4. FCOの変換と閾値
  5. 区分の閾値
  6. レジーム判定
  7. proxy-GRCS
  8. 予測ログとBrierスコア
  9. データの扱い
  10. 限界と次の版

構成と版管理

v1.0は初版で、Score=(0.7M+0.3L+0.25D)×20という単純な式でした。v2.0で次の8点を変えました。

変更理由
方向感Dをスコアから分離悪化が止まるだけで指数が下がる問題があった
②を公的部門の財政に限定金融ストレスを測るFCOと二重に数えていた
FCOとFFIの2本立てストレスだけでは2007年のような状態を見逃す
SURIを20か国の国別に平均は分布を潰す
遡及検証を2008年のみから5エピソードに1時点では尺度を確かめられない
アンカー表、機械計算、予測ログ採点が少しずつずれるのを防ぐ
データを縦持ちにし数式で連動手作業の転記ミスを防ぐ
GRCSを平均0.6+上位2つ0.4に単純平均の希釈と、最大値の天井効果を避ける
版時期内容
v2.12026年9月FCOに第6項(介入使用量)を追加。指標を6つ追加。8月確定版
v2.22026年9月356か月の全数検定。モデルの位置づけを変更
v2.32026年9月エピソードのFCOを再計算
v2.42026年10月9月確定版。仮説検証の枠組み。FFI×GRCS4の警戒指標案を撤回。Lの上げ過ぎ防止ルール

指数の定義

Level = (0.7 × M + 0.3 × L) × 20

GRCS5 = 0.6 × (5リスクのLevelの平均) + 0.4 × (上位2リスクのLevelの平均)

GRCS4 = ⑤AI・雇用を除いて同じ式で計算

SCI = (5連鎖の強度の平均) × 20

SURI = 0.35 家計ストレス + 0.25 抗議動員 + 0.20 政府の脆弱性 + 0.20 紛争の波及

RCEI = 0.30 戦闘強度 + 0.25 エスカレーション速度 + 0.15 国家の脆弱性 + 0.15 食料・エネルギー・水 + 0.15 難民・越境

FFI = 0.20 レバレッジ・信用の質 + 0.15 満期の壁 + 0.20 バリュエーション・スプレッド圧縮 + 0.20 不透明資産 + 0.10 銀行貸出態度・BS + 0.15 対外脆弱性

FCO = 0.25 信用 + 0.20 ボラティリティ + 0.15 資金調達 + 0.15 銀行 + 0.10 流動性 + 0.15 介入使用量

指数正式名用途
GRCS5Global Rolling Crisis Score現在の複合マクロ圧力の本体
GRCS4同上(⑤を除く)⑤AIのデータがない過去との比較専用
FFIFinancial Fragility Index平時に蓄積する金融の弱さ
FCOFinancial Contagion Overlay民間金融システムで今起きているストレス
SCISystemic Coupling Index5つの連鎖の強度
SURISocial Unrest Risk Index20か国の社会不安。≥60の国数、人口加重、GDP加重、最大値で集計
RCEIRegional Conflict Escalation Index地域紛争のエスカレーション

MとLは1〜5、方向感Dは−2〜+2です。Dはスコアに入れず、別に表示します。

採点アンカー

Mは下表の基準で採点します。Lは他のリスクのMを1段押し上げる経路が現実に成立しているかを見ます。目安は関連する連鎖の最大値です。裁量は±1までで、理由を注記します。

M① 気候・食料・水② 財政(公的部門)③ エネルギー・海運④ 政治・地政学⑤ AI・雇用
1気温偏差+0.3℃超、価格影響なし利払い/税収が過去平均圏価格、通航とも平時圏通常の政治対立導入は限定的、雇用統計に影響なし
2FAO名目前年比+3%未満、局地的減産長期金利が過去10年の70パーセンタイル超価格が過去5年の上位25%、または通航10%以上減選挙、政権交代による政策不連続の懸念一部業種で採用抑制
3FAO実質が過去20年の60パーセンタイル超、主要2か国で収量5%超の下方修正主要国で利払い/税収10%超、入札テール拡大主要チョークポイントの通航30%以上減、または原油が過去10年の80パーセンタイル超主要国間の制裁、軍事的緊張、戦闘イベント3か月比+10%エントリーレベル求人が前年比5%超減、AI理由のレイオフが全体の20%超
4上記に加え輸出規制国3か国以上、または在庫率が20年平均を5pt下回る複数国で歳出増と税収減が同時進行、格下げ観測通航70%以上減、または供給500万b/d以上減地域戦争が進行、戦闘イベント3か月比+25%、大国が直接関与ホワイトカラー求人が広範に減少、収益と雇用の乖離が2桁pt
5複数の主要穀物で同時不作、輸出規制10か国超、実質指数が過去最高圏主要国の入札不調が常態化、ソブリン格下げの連鎖複数チョークポイントの同時封鎖、供給1,000万b/d超喪失複数地域で同時の大規模武力紛争、大国間の直接衝突ホワイトカラー失業率がマクロ統計で明確に悪化

FCOの変換と閾値

信用、ボラティリティ、介入使用量は機械計算です。資金調達、銀行、流動性の3項目は専門判断で採点します(合計40%)。変換はパーセンタイルではなくストレス変換です。中央値付近は概ね10点で、上位テールで急に上がります。ブレークポイントは1997〜2025年の分布の概算です。

HY OAS(%)→点数: 2→0, 2.5→2, 3→6, 3.5→12, 4.5→22, 5.5→35, 7→50, 9→68, 12→85, 18→95, 24→100

VIX→点数: 10→0, 14→5, 17→10, 20→20, 25→35, 30→50, 40→70, 55→85, 80→100

介入ストレス = MIN(100, MAX(0, 100 × LN(MAX(X, 10) / 10) / LN(45))) X=連銀貸出の月内最大(十億ドル)

点の間は線形内挿です。連銀貸出は100億ドル以下で0、4,500億ドルで100です。

区分の閾値

指数Low
低位
Watch
注視
Elevated
上昇
High
高位
Severe
深刻
Systemic
システミック
GRCS<4040-5455-6970-7980-8990+
FFI<3535-4950-6465-7475-8485+
FCO<1515-2930-4950-6970-8485+
SURI, RCEI<2020-3940-5960-7475-8990+

レジーム判定

レジームは上から順に判定し、最初に当てはまった行を採用します。

順条件レジーム
1FCO ≥ 70 かつ GRCS5 ≥ 80システミック複合危機
Systemic Compound Crisis
2FCO ≥ 70金融主導の危機
Financial-Led Crisis
3FCO ≥ 30 かつ GRCS5 ≥ 75マクロ・金融波及
Macro-Financial Contagion
4FCO ≥ 30金融ストレス
Financial Stress
5GRCS5 ≥ 75 かつ FFI ≥ 65複合マクロ・ストレス+潜在脆弱性
Compound Macro Stress / Latent Fragility
6GRCS5 ≥ 75複合マクロ・ストレス
Compound Macro Stress
7GRCS5 ≥ 55マクロ圧力の上昇
Elevated Macro Stress
8上記以外平常
Normal

判定ルールを過去に当てはめた結果はモデルの検証にあります。レジームが変わった月は、臨時号を出します。

proxy-GRCS

主観の採点を点検するため、市場と統計だけから機械的に計算する客観版を併記します。

軸元データ処理
食料IMF PFOODINDEXMCPIで実質化
財政ACM 10年タームプレミアム(THREEFYTP10)そのまま
エネルギーIMF POILBREUSDMCPIで実質化
地政学GPR指数そのまま

各軸を拡張窓パーセンタイルに変換し(助走60か月)、GRCSと同じ式で集計します。CPIはCPIAUCSLで、2025年10月は政府閉鎖のため線形内挿です。主観のGRCS4との差が±15を超えたら採点基準を点検します。

予測ログとBrierスコア

毎号、当否を誰でも判定できる予測を確率と期限つきで発行します。Brierスコアは(確率−結果)²の平均です。0が完璧で、低いほど良く、すべて50%と答えると0.25です。基準率を使う目安は0.20です。

0.25を継続して下回らないなら、モデルの構成やウェイトを見直します。到達型の予測は成立した時点で確定し、未達の予測は期限が来るまで0として計上しません。そのため初期は的中が先に並ぶ偏りがあります。的中でも低い確率しか置かなければスコアは悪くなり、これは正しい挙動です。

データの扱い

状態意味
実測公式統計や市場データをそのまま使用
概算報道などからの概数
推計内挿やモデルによる推定
要取得未入手で、スコアに使っていない
旧版改定前の値

限界と次の版

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