マクロリスク・モニター 2026年7月確定版(MR-2026-07)

at.AI / 最終更新 2026年11月3日

実行ID
MR-2026-07
対象月
2026年7月
種類
確定版
モデル版
v2.0
作成時点
2026年8月17日
公開日
2026年11月3日

読み方の注意。このレポートは2026年8月17日時点のデータで作成しました。FCOは現行のv2.1で掲載します。作成時のv2.0では5.27でした。

作成当時に記していた「下落余地が未消化」「2007年より条件が悪い」といった解釈は、その後の全数検定を受けて撤回したため掲載していません。

この号の結論

目次

  1. 現在地
  2. レジーム判定
  3. 5大リスク
  4. 金融波及の3層チェック
  5. 社会不安と地域紛争
  6. 連鎖の強度
  7. 主観と客観の比較
  8. 予測ログ
  9. 来月の注視項目
  10. データ改定の記録
  11. 出典と限界

現在地

指数内容当月前月前月差区分
GRCS5複合マクロ圧力(5リスク)81.5780.27+1.30Severe
GRCS4時代間比較用(⑤AIを除く)84.3183.23+1.08Severe
FFI金融脆弱性(平時に蓄積する弱さ)70.8069.90+0.90High
FCO金融ストレス(今起きている緊張)4.364.32+0.04Low
SCI連鎖の強度77.2074.00+3.20—
SURI≥60社会不安リスクが60以上の国数(20か国中)990—
RCEI地域紛争エスカレーション77.5576.55+1.00Severe

区分は指数ごとの閾値です。定義はリスク計測モデルを参照してください。

2026年の主要3指数の推移の折れ線グラフ
図1 主要3指数の推移。GRCS5とFFIは高位、FCOは低位です。同じ0〜100の尺度で、1つの軸に描いています。

GRCS4は84.31で、2022年3月の83.85をわずかに上回りました。ただしこれは主観の遡及採点どうしの比較です。客観のproxy-GRCSでは2022年3月(84.9)に遠く及びません。

レジーム判定

7月のレジームは複合マクロ・ストレス+潜在脆弱性です。この判定は4月から4か月連続です。

月GRCS5FFIFCOレジーム
1月49.9166.104.89平常
Normal
2月55.7066.257.51マクロ圧力の上昇
Elevated Macro Stress
3月70.2967.1014.04マクロ圧力の上昇
Elevated Macro Stress
4月75.9868.454.77複合マクロ・ストレス+潜在脆弱性
Compound Macro Stress / Latent Fragility
5月78.9969.503.58複合マクロ・ストレス+潜在脆弱性
Compound Macro Stress / Latent Fragility
6月80.2769.904.32複合マクロ・ストレス+潜在脆弱性
Compound Macro Stress / Latent Fragility
7月81.5770.804.36複合マクロ・ストレス+潜在脆弱性
Compound Macro Stress / Latent Fragility

5大リスク

リスクMLLevel前月差D
① 気候・食料・水3.84.479.6+3.2+1
② 財政(公的部門)3.53.871.8+2.6+1
③ エネルギー・海運4.24.887.6+0.60
④ 政治・地政学4.34.788.40.00
⑤ AI・雇用3.12.659.0+3.4+1

M=当月の水準、L=連鎖の結合度(各1〜5)、Level=(0.7M+0.3L)×20。Dは方向(−2〜+2)で、スコアには入りません。

5大リスクのLevelの小多重折れ線グラフ
図2 5大リスクのLevel。5つのパネルは同じ尺度です。

採点の理由

エネルギーの見かけの低下を修正しました。旧式では③が4月の96から7月の88へ下がって見えました。これは方向感Dが+2から0に変わったためで、Mは4.2のまま、Lは4.5から4.8に上がっていました。新式では85.8から87.6への上昇です。悪化が止まるだけで指数が下がる問題を、Dの分離で解消しました。

主要な実体指標

指標前月当月
世界気温偏差(℃)0.560.67
FAO食料価格指数130.4131.1
FAO穀物価格指数—113.8
Brent原油(ドル)85.483.4
欧州ガス(ドル/MMBtu)15.1718.06
ホルムズ通航(隻/日、報道概算)3515
レイオフのうちAIを理由とする割合(%)3133

Brentと欧州ガスは世界銀行の月平均です。FAOは各号の作成時点の公表値で、後の改定は改定記録に残します。

金融波及の3層チェック

3層のいずれにも波及は見えません。価格の層ではHY OAS 2.85%、VIX 15.99です。信用・レバレッジの層ではNFCI総合が−0.53で、銀行の貸出態度は0.0%に下がりました。配管の層ではSOFR−IORBが+1bpです。

層指標前月当月
価格の層米HY OAS(%、月末)2.752.85
価格の層新興国スプレッド代理(bp)311299
価格の層VIX(月末)16.4515.99
価格の層STLFSI4−0.80−0.73
価格の層米30年債(%、月平均)4.955.10
価格の層10年タームプレミアム(%)0.700.87
価格の層ドル指数代理120.92119.70
信用・レバレッジの層NFCI総合−0.51−0.53
信用・レバレッジの層NFCI信用−0.03−0.04
信用・レバレッジの層NFCIレバレッジ0.250.16
信用・レバレッジの層NFCI非金融レバレッジ−0.54−0.52
信用・レバレッジの層銀行の貸出態度(純引締め%)8.1(4月調査)0.0(7月調査)
配管の層SOFR−IORB(bp)+3+1
配管の層連銀貸出の月内最大(十億ドル)8.07.8

STLFSI4とNFCI系列は0が平均で、マイナスは平均より緩い状態です。新興国スプレッドとドル指数は代理系列です。

FCO v2.1 の内訳

項目ウェイト元データ点数
信用(HY OAS)0.252.85%4.80
ボラティリティ(VIX)0.2015.998.32
資金調達(SOFR−IORB)0.15+1 bp5.00
銀行(貸出態度)0.15専門判断5.00
流動性0.10専門判断0.00
介入使用量(連銀貸出)0.157.80.00
FCO1.00—4.36

FCOは現行のv2.1で計算しています。作成時のv2.0では5.27でした。区分はどちらもLowです。

FFI の内訳

項目ウェイト前月当月
レバレッジ・信用の質0.207273
満期の壁0.156566
バリュエーション・スプレッド圧縮0.207677
不透明資産0.207273
銀行貸出態度・バランスシート0.105858
対外脆弱性(新興国)0.156970
FFI1.0069.9070.80

FFIは69.9から70.8へ上がり、この号の時点でHighです。バリュエーションは76から77です。

社会不安と地域紛争

SURIを20か国の国別に改めました。平均では分布が潰れるためです。国別の実データがあるのは1月と7月で、2〜6月は内挿です。表の差は1月からの変化です。

SURI≥60は1月の6か国から9か国に増えました。単純平均は61.25、人口加重は61.88、GDP加重は55.21です。RCEIは77.55です。

SURI60以上の国数の棒グラフとRCEIの折れ線グラフ
図3 SURI≥60の国数と地域紛争指数。薄い棒は国別データのない内挿値です。
20か国のSURIの横棒グラフ
図4 国別SURI。破線は60と75の閾値です。
国家計抗議政府紛争SURI1月差主な要因
スーダン9570959889.35+6.15内戦・飢饉リスク。食料危機の主因は紛争
ナイジェリア8572708578.75+11.40燃料補助削減+通貨安+選挙。重点監視国
パキスタン7870727874.80+11.45食料+電力+対外債務。人口規模が大きい
レバノン8060857074.00+7.40通貨・財政が既に破綻状態
エチオピア8055758573.75+8.00紛争と干ばつの複合
ミャンマー7545859573.50+5.40内戦継続。抗議より武力紛争が主経路
ボリビア7280703065.20+12.50燃料補助削減への抗議が全国化
エジプト8255684565.05+9.75パン・燃料補助金が政治的安定装置。財政と直結
ケニア7075553561.25+11.95燃料価格抗議で死者。抗議動員が突出
チュニジア7258653058.70+8.15食料輸入依存+財政脆弱
バングラデシュ6860584058.40+9.45食料+エネルギー輸入、政治不安定
ペルー6272603057.70+10.80燃料補助導入で一旦鎮静も財政悪化
トルコ7045484554.35+6.15高インフレの慢性化
アルゼンチン6862552054.30+4.85緊縮と実質所得低下
ザンビア7045602552.75+7.60債務再編途上+干ばつ
スリランカ6555552552.50+6.152022年危機の再発リスク
ガーナ6548522550.15+7.05債務再編後の生活費圧力
フィリピン5540384044.85+5.80コメ価格が政治問題化
モロッコ5845402544.55+6.30干ばつによる農業減産
インドネシア5242323041.10+5.75補助金財政負担が拡大

国別SURIは公開情報に基づくモデル値です。各国の公式評価や格付けではありません。SURI=0.35家計ストレス+0.25抗議動員+0.20政府の脆弱性+0.20紛争の波及。

月SURI≥60SURI≥75単純平均人口加重GDP加重最大値データ
1月6153.1553.3847.8083.20国別実データ
6月9259.9060.4653.9788.32内挿(推計)
7月9261.2561.8855.2189.35国別実データ
項目前月当月
戦闘強度8585
エスカレーション速度7475
国家の脆弱性6465
食料・エネルギー・水7375
難民・越境8082
RCEI76.5577.55

連鎖の強度

SCIは74.0から77.2です。連鎖1は3.8から4.0、連鎖4は3.8から4.0、連鎖3は3.6から3.8に上がりました。

5連鎖の月次強度のヒートマップ
図5 5連鎖の強度の推移。色が濃いほど強い連鎖です。
連鎖前月当月前月差
連鎖1 気候→農業→食料→家計→デモ3.84.0+0.2
連鎖2 地政学→エネルギー→インフレ→金利→財政4.84.80.0
連鎖3 高金利→財政余力→補助金削減→社会不安3.63.8+0.2
連鎖4 食料・燃料→政情不安→通貨安→輸入インフレ3.84.0+0.2
連鎖5 AI→採用減→若年所得→消費・政治2.52.7+0.2
SCI(連鎖の平均×20)74.077.2+3.2

主観と客観の比較

主観のGRCS4は84.31、客観のproxy-GRCSは67.2(57.5パーセンタイル)で、差は+17.1です。

GRCS4とproxy-GRCSの折れ線グラフ
図6 主観のGRCS4と客観のproxy-GRCS。主観は専門判断、客観は市場と統計の機械計算です。
月GRCS4(主観)proxy-GRCS(客観)過去比パーセンタイル差
1月50.7760.742.5−9.9
2月57.0756.834.1+0.2
3月73.1574.181.6−0.9
4月79.1476.088.0+3.2
5月82.0174.884.4+7.2
6月83.2366.355.6+17.0
7月84.3167.257.5+17.2

この号の作成時点ではproxy-GRCSは未導入でした。掲載値は2026年10月に統一した計算方法で後日算出したものです。

予測ログ

この号から予測ログを始めました。誰が見ても当否が判定できる形で書き、確率と期限を付けます。P-01〜P-10を発行しました。

ID予測確率期限状況発行
P-01SURI≥60の国のうち3か国以上で、死者を伴う生活費・燃料関連の抗議が発生する0.652026年11月末未判定MR-2026-07
P-02FAO食料価格指数が135以上に到達する0.352026年11月末未判定MR-2026-07
P-03米HY OASの月末値が4.00%以上に拡大する0.202026年11月末未判定MR-2026-07
P-04FCOが30以上に上昇する(2026年9月以降はv2.1で判定)0.152026年11月末未判定MR-2026-07
P-055か国以上で食料または燃料の補助金が新規導入・拡大される0.752027年2月末未判定MR-2026-07
P-06欧州主要国(独仏伊西英)のいずれかで、GDP比0.2%以上の気候関連緊急財政措置が発表される0.552026年12月末未判定MR-2026-07
P-07食料輸出規制を新規導入する国が5か国以上になる(IFPRI)0.402027年2月末未判定MR-2026-07
P-08GRCS4が85を超える0.452026年12月末未判定MR-2026-07
P-09新興国2か国以上で通貨危機(3か月で対ドル20%超下落)が発生する0.402027年7月末未判定MR-2026-07
P-10欧州天然ガスが月平均20ドル/MMBtuを超える(世界銀行)0.452026年12月末未判定MR-2026-07

この号の時点で判定済みの予測はありません。

来月の注視項目

この号で次の5条件を設定しました。7月はいずれも未成立です。

条件当月の値成立
① FFIが75を超えて維持される70.80未成立
② FCOが2か月連続で上昇し30を超える4.36(2か月連続の上昇)未成立
③ GRCS4が85を超える84.31未成立
④ SURI≥60が12か国を超える9未成立
⑤ 連鎖1が4.5に達する4.0未成立

2つ以上が同時に成立したら、レジーム転換を検討します。

データ改定の記録

出典と限界

この号の限界

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